いつになったら申請できることやら

もう何ヶ月も待っているのに、まだ建築確認を申請できていない。適合判定を受けてもらえないからだ。これまでにいくつかの機関が適合判定を受けてくれるという話があったのだが、いざ事前協議しようとすると、やはり受けられないということになる。一体どうなっているんだ???

 

この点について、伝統構法を巡る建築行政の裏事情について山口棟梁から話を聞いた。あれこれ複雑な話で理解が十分ではないと思うが、自分なりに次のように解釈した。 

 

国土交通省では伝統構法を建築基準法に位置づけるための研究会が発足し、従来の難しい限界耐力計算法によらず簡易な計算や仕様規定で建てられるよう検討中。しかしそれは剛構造的に規定するものであり、伝統構法の考え方に反するもの。この規定では、足元を緊結しない石場立ては建てられなくなる見込み。

 

山口棟梁ら伝統構法関係者はそうした国の動きに危機感を募らせ、反対運動を展開しているが、国の考えは一向に変わらず、着々と事業は進行。そうした流れのなか、国の指定を受けている適合判定機関は国の意向を窺い、伝統構法を柔構造的に審査することに及び腰となり、窓口を閉ざしている状況。

 

関西地方では従来から伝統構法を柔構造として評価する土壌があり、建築基準法改正後にも限界耐力計算法で数件の建築確認がおりているが、関東地方ではそうした状況にはなく、審査すら受けられない状態が続いている。

 

国の研究事業は3年間の予定で開始されたため、伝統構法の建築基準法上の位置づけが明確になるのはそれ以降のこと。それまでの間は今の状況が続く可能性がある。もっとも、3年後に剛構造的な規定ができてしまえば、柔構造を旨とする伝統構法は存続が危ぶまれる・・・。

 

何の因果か、我らの家づくりはこんなややこしい時期に重なってしまった。既に柱や梁の刻み加工は進んでいて、今更建て方を変える訳にはいかないし、伝統構法の良さに惚れ込んでここまで進んできたのだから、考えを変える気にもならない。困ったものだ。